アグリシステムの取り組み
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主要取り扱い品目 農業資材 栽培履歴 ナチュラル・ココ トカプチ農場
農薬

1. 農薬の毒性2. 化学物質過敏症 3. 農薬の被害4. 農薬の一日許容摂取量(ADI)
5. 残留農薬基準6. ポジティブリスト制度7. 農薬のドリフト(飛散)対策
8. 現状の農薬散布の問題点(耐性菌・耐性虫)9. 環境への負荷(生物多様性の破壊、土壌消毒)
10.団粒構造の破壊

6. ポジティブリスト制度

平成18年までは、残留農薬の基準が設定された283の農薬類以外の残留農薬は、基本的に規制できませんでした。海外で使用が認められている農薬は700〜1,000種類とも言われ、しかも日本では食品の60%を輸入に頼っていることもあり、このギャップが引き起こす残留農薬が社会問題にまでなりました。そこで残留農薬の基準値がない農薬は一律0.01ppm(1ppmは百万分の1、0.0001%)で規制される、ポジティブリスト制度が平成18年からスタートしました。しかし、市場の混乱を避ける目的で残留農薬の基準値のないものは、経過措置として海外の基準値を暫定的に使用することで、758の農薬類について暫定値が適用されています。経過措置は平成18年から5年間とされ、この間に正規の評価によって残留農薬の基準が決められることになっています。この残留農薬の基準は、食品衛生法として国産、外国産の食品が規制され、残留農薬基準を超えるものは廃棄処分などが行われます。

7. 農薬のドリフト(飛散)対策

農薬を散布するとその80%が地中や空気中に飛散することが知られています。地中に入るものに関してはある程度予測でき、農薬の土壌への残留などは残留農薬基準や農薬取締法などで対策されています。空気中への飛散(ドリフト)は、予測が難しい上に近隣の住宅や田畑、あるいは直接人への被害が考えられます。農薬の空気中へのドリフトは、農薬が液体や粉末・粒状などの種類、散布時の天気や湿度・風の強さ・風の向きなどの環境、人の手によるものやヘリコプター・飛行機・ラジコン等での散布の仕方などで大きく変わります。農薬のドリフト量は、風による影響が最も大きく、風下へ数十メートル、場合によっては50メートルを超える農薬のドリフトが分かっています。 ポジティブリスト制度の施行と共に残留農薬の基準が厳しくなることから、農薬の使用法や散布の仕方など、文書による通知や教育によるドリフト対策が行われました。しかし、農薬を使用する側のドリフトへの関心が高まってはいますが、ドリフト対策はあくまで対策であって規制ではありません。そのため農薬を使用する生産者の自主規制によるところが大きくなっています。

8. 現状の農薬散布の問題点(耐性菌・耐性虫)

作物に病気を起こす細菌(バクテリア)や糸状菌(カビ)などは、植物から栄養を摂取して生活しています。このとき、バクテリアは細胞分裂を繰り返して驚異的な数に増殖し、カビは無数の胞子を作ります。動物や昆虫よりも、はるかに早く、そして多くの子孫を生み出す能力が備わっているのです。これら多くの個体の中にはある特殊な性質を持った個体が生まれることがあり、これを突然変異と言います。突然変異が自然に起こる確率は、1万分の1から10万分の1個と、とても低いのですが、驚異的な増殖能力を持つバクテリアやカビにとっては、それほど珍しくないことなのです。その特殊な性質がたまたま、ある農薬に強い性質だった場合には、もしその農薬を続けて使うと、耐性菌だけが生き残って増殖するために、農薬が効かなくなるのです。また、害虫についても同様の問題点があります。細菌等に比べると繁殖速度は遅いですが、殺虫剤や殺菌剤などを多用すれば、畑の生物相が単純化してしまいます。天敵不在の害虫が繁殖しやすくなったり、度重なる農薬散布で薬剤耐性の害虫が発生してしまう可能性は十分に考えられます。散布している殺菌剤や殺虫剤が、今は有効な農薬だとしても、いつまでも有効である保障は全くありません。より強力な農薬は、人にとってもより強力になってしまいます。

9. 環境への負荷(生物多様性の破壊、土壌消毒)

殺菌剤や殺虫剤の散布によって死滅するのは悪い微生物だけではありません。作物にとって無害な微生物も必要な微生物も含めて大半の微生物を死滅させてしまいます。また、農薬は畑で殺菌殺虫した後、使いきれなかった部分が地下水に浸透し、河川へ流れ、海へ流れ出ます。04と05年度にテンサイと小麦が栽培されている北海道の売買川流域で、5月中旬-9月下旬に調査が行なわれ、アトラジン0.5、フルトラニル2.8、プロシミドン0.12、ペンシクロン0.3、メトラクロール0.9、レナシル0.77、NAC2.37、TPN0.02各ppb(いずれも最大値)が検出された、という結果も発表されています。北海道十勝地方を中心に最も広く行われている農薬で、耐性菌と河川汚染の心配がある農薬の1つにフルアジナム剤が挙げられます。馬鈴薯の疫病防除、小麦の雪腐れ防除、豆類の殺菌剤等で1,000〜2,000倍濃度で広く散布されています。また、馬鈴薯のソウカ病対策、甜菜の叢根病対策、キャベツ等の根こぶ病対策等で30〜40kg/10aで直接土壌へ散布しています。土の中も外もしっかり殺菌することで病気対策を行っていますが、同時に有用な微生物もしっかり殺菌してしまいますし、徐々に地下水〜河川へ成分を流亡させてしまっています。

10.団粒構造の破壊

日本は雨が多い気候のため、カルシウムなどの塩基類が洗い流され、自然に土壌が酸性に偏ってしまう傾向があります。ここでさらに化学肥料を多用すると、土壌がさらに酸性に傾いていきます。土壌が酸性になってしまうと生じる障害として、団粒構造の破壊が挙げられます。団粒構造の破壊は、団粒構造の形成に働いている多荷電金属が酸化状態から還元状態に移行する際に粘度鉱物と腐植複合物との結合が弱まることが主な原因となっています。団粒構造とは、土の微細粒がいくつかずつ接着されて塊をつくり、その小さい塊が集まってまた塊となり二重三重の塊を構成してできた構造です。堆肥や牛糞や腐葉土といった有機質と、粘土を含んだ土の混合物の存在が元となっています。その中で堆肥は地中の微生物により分解されて腐植となり、その腐植が糊のように土の粒子を接着させて塊を作り、団粒土となります。この団粒構造には内部に小さな間隙が、外部に大きな間隙があります。この大きな間隙により、水や空気の出入りがスムーズになり、小さな間隙は絶えず水分と肥料成分を保有し、作物の根に供給しています。水ハケのよい性質と水モチの良い性質をかねそなえている土は、必ず団粒構造が形成されています。農薬を広く使用することで、作物にとって有害な微生物と同時に必要な微生物も死滅させてしまい、団粒構造が形成できなくなり、化学肥料を多用するとこの団粒構造を失ってしまうのです。
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