世界に広がるEM技術
EMの応用分野は農業、畜産、水産、医療、建築、水質浄化、学校教育、福祉、生活全般・・・と幅広く活用されています。現在、EMは北中南米やアジア、アフリカなど世界150カ国以上の国々に普及し、50カ国以上の工場でEMが生産されています。日本国内ではEMを普及するために設立されたNPO(非営利団体)は100余、EMの普及に携わっている任意団体は1,000を超えるといわれ、プール清掃や給食生ごみリサイクルなどにEMを活用している全国の小中学校は平成18年8月の段階で855校と報告されています。
EM技術について
次に各分野で応用されるEM技術についていくつか簡単にご説明します。
1.EM農法
EMは褐色液体状の資材です。これを潅水や葉面散布時に水に薄めて(100〜1000倍希釈)畑に散布します。また、米ぬかや魚粉等の有機物をEMで発酵させたものをEMボカシと呼び、肥料として使用します。EMの効果は、環境中でEMが増殖し、多様な抗酸化物質を産生して、その機能性が現れたときにはじめて発揮されます。したがって、EM使用法の基本はEMの密度が高まり、その効果が現れるまで使い続けることにあるといえます。これに成功すると、作物は無農薬、無化学肥料で、従来の2倍以上の収量増産も不可能ではなく、しかも超高品質な生産物の収穫が可能となることは、過去の数多くの事例が証明しています。また、特記すべきことは、農薬や化学肥料を必要としないので、コストの大幅な削減も同時に達成できます。
2.EM畜産・酪農
EMを家畜の飼料に混ぜたり、飲み水に添加させて家畜の体内に十分にEMを取り込ませます。 こうすることで、家畜体内の腸内細菌のバランスが整えられ、家畜は健康となるため、罹病率が低下し、薬剤使用量を減少させることができます。一方で、育成率や増体率は向上し、肉質・乳質も向上します。また、排泄物は初めから有用菌が住み着いているため、堆肥化する際にも有効に働き、堆肥化期間の短縮や質の向上がみられます。また、畜床や天井にEMを日に数回散布することで畜舎の悪臭は除去され、ハエ等の衛生害虫が発生しなくなります。これにより家畜自身の臭気によるストレスは軽減され、作業者にとっても衛生的な環境で作業ができるようになります。
3.EM水質浄化
現在、日本の主要河川の水質浄化活動にEMが盛んに使用されています。例えば、大阪市漁協組合が行っている大阪湾再生事業では、釣堀を改造した170トン水槽でEMを培養して道頓堀川へと投入しています(平成16年〜)。その結果、水底に堆積していたヘドロ50センチが約半年で消えて砂地へと変化し、2年目には水泳ができる大腸菌レベルにまで下がりました。また、下流域の淀川河口では、シジミが大量に採れるようになり(漁獲量6.7倍)、「ナニワベッコウシジミ」として市場に再デビューを果たしています。
その成果を受けて、「日本橋」保存会が行っている日本橋川浄化プロジェクトではEM培養装置1トンタンク10基を設置し、週15トンのEMを流しています。その結果、ヘドロの臭いが消え、また橋からスズキやボラの遡上が確認されています。また、日本一汚い川ワースト1位であった奈良県大和川ではEM浄化活動により、今ではアユが遡上する川へと変身を遂げています。
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